なぜ小論文か?                              鈴木国語研究所


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ご父母からのお問い合わせに対する返信メールをもとにして書いたものです。(07/01/05)


小論文は、事実や感想を連ねた「散文」とは異なり、「論理」を本質とします。それはある「問題」に対して、「理由付け」をしつつ、「答え」を導き出すという形式となって表れます。その意味で、中学以上の数学で行う図形の証明はこの小論文の骨であるといえます。

では、この小論文の本質である「論理」と、「問題提起」→「理由付け」→「結論」という小論文の形式はどのようにしたら生徒の身につけさせることができるでしょうか。

どこかの大手塾のテキストに書いてあるように「序論」「本論」「結論」や「起承転結」などという説明をしても、小学生は同じ言葉を暗記して繰り返すだけで、実際にそれを使えるようにはなりません。受験では実際に使えない知識は覚えても意味はありません。

ちなみに、これは世の中でも同じことでしょう。たとえば「命の大切さ」ということが学校やマスコミで繰り返されますが、この言葉が大切なのではなく、この言葉の内容を実践することが大切なのであり、学校やマスコミはそれを本当に教えているのかよく考えてみる(反省してみる)必要があるでしょう。実際に役に立たない知識は意味がない。

では、どうしたら小論文の形式を小学生に身につけさせることができるのか。結論から言えば、彼らには理屈で教えるよりも、トレーニングを通して「体で覚えさせる」事が有効です。

これは具体的には要約の練習を通して行いますが、次のような配慮が必要です。

@まず、「問題提起」→「理由付け」→「結論」という論説文の基本形を保った文章で、かつ、平易なものを選びます。

A次に、これに問題をつけます。この問題は、生徒が、「問題提起」→「理由1,2,3…」→「結論」と確認できるようにするためのものです。

B最後に、生徒にこの文章を読ませ、問題を解かせた上で、それをつなげて要約文を書かせます。

 このサイクルを何度も繰り返すことで(月4回の授業で2〜3回くらいします)、生徒は無理なく小論文の基本形を学ぶことができます。

 これは空中回転の練習に手を添えてやるようなものですが、まずここから出発しなければ、空中回転で言えば首の骨を骨折するような結果にしかなりません。逆に、ここから出発すると、多くの生徒が書くということへのアレルギーを克服でき、優秀な者は高校生をしのぐような力を身につけます。また、感想文などのコンクールで金賞を取ったりする者でてきます。

 ちなみに、高校生の多くは小論文が書けませんが、この辺りの訓練を欠いていることが原因であると思われます。

 「要約」の練習をするというと、小論文自体の練習にならないのではないか、と思われる方もいらっしゃいます。しかし、

@第一に、要約文が書けない者が小論文が書けるということはありえないということです。なぜなら、要約文が小論文の基本形であり、要約文の論理・形式が小論文の必要条件をなすからです。

A第二に、一般に小論文といわれるものは、「本文全体を踏まえ…」という趣旨の条件がつくように、慶応でも東大でも、文章の読解と要約を前提とするものであり、やはり要約が小論文の必要条件をなすといえます。

B第三に、小論文が、「具体例をあげて自分の考えを述べなさい」という課題を課す場合には、要約した本文の論理を実際問題(具体例)に応用的に適応できるかどうかが試されているわけですから、やはり要約は小論の必要条件をなします。

C第四に、小論文が「筆者の意見に対するあなたの考えを述べなさい」という課題を課す場合にも、筆者の論理の要点をとらえ、それに対する論拠を示しつつ、賛成するか反対するか、ということが問われているわけですから、やはり要約は小論の必要条件をなします。

D実際、要約のトレーニングを通して、他人の意見を消化し、自分のものとして蓄積すると、次第にいろいろな考え方ができるようになります。「学ぶ」とは「まねぶ」つまり人まねから出発するものだからです。これはスポーツでも芸術でも同じだと思います。自分らしさは他を相当量吸収し終えたところから現れてくるのではないかと思います。

 当研究所は以上のような意味において、小論文のトレーニングをします。

 





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